「幼児は大人がつくる環のなかで
はじめて祝福された存在となる」
教師と保護者で創る環(わ)は子どもたちにとって生命のつながりを豊かに育む「森」となります。自然の恵み、豊かな緑の森のような生命の環をつくり、1本1本の若木である子どもたちを共に、大切に育てようではありませんか。
こどものくには、深い人間理解に基づき、教育を芸術の域にまで磨き、高め、愛すべき親子に決して後悔のない教育を行っています。
乳歯が永久歯に生え変わるまでの7年間(0~7歳)は人間の一生にとってとても大切な時期です。この期間子どもは特に母親を慕い共に過ごしたがります。それ以降は段々と親から離れ独り立ちの準備をします。この2度と戻らない、かけがえのない時期を、親子ともども心豊かに幼稚園で過ごしていただけますように。
こどものくに幼稚園 園長 曽根 基
ー「ママがいい!」との 子ども達の心の叫びが聞こえてきますー
先日「ママがいい!」(松井 和)という本を読み、少子化対策に惑わされる現代の子育てについてつくづく考えさせられてしまいました。
幼稚園に入園したての子ども達に先生が手を貸そうとすると、泣きながら「ママがいい!」とその手を払いのけられます。「ママがいい!」の叫びの向こうにたった一人、唯一無二の大切な母親を求めているのです。
ところが国の政策やマスコミの取り上げ方には、「母親も働け」という動きが加速されています。母子分離が保育施設の乱立によって早められ親も子もその風潮に慣らされて行くのです。自分の子は自分で育てたいという自然な思いがまるで誤りであるかのように流されていくのです。母親の労働によって国の税収は一時的に膨らむのかもしれませんが、子育てによって人を思いやり人が互いに育ちあう場が失われていくように思われてなりません。大人の都合ばかりが声となり、子どもの気持ちを推し量る声は聞こえてきません。
世の中全体に子どもに対する包容力がなくなりつつあると危惧されます。人間性の育ちは「子育て」が大きな役割を担っているはずです。私たちは、子育てに悩みながらも我が子の成長に喜びを見つけ、その笑顔に幸せを与えられています。今、国が問題視している「小一プロブレム」(小学校に入学したばかりの子どもが、集団生活になじめず静かに授業を聞けない、集団行動がとれない、学級崩壊につながるという問題をさす。愛着障害等が原因と考えられる。)などは、子どもから母親を奪ったことによる子どもの不安定な思いから起きているのではないでしょうか?保育施設の専門家によるしつけに頼ってもそれは解消できるはずがありません。親子の間の問題です。子ども達は愛する人の存在が身近にあって心をいきいき動かし、自分を信じ、安心して自分を育ていけるのです。いい人間になろうと努力をするのです。お母さん、お父さんの愛がすぐそばに必要なのです。
ご興味のある方は、是非「ママがいい!」の本を手に取ってみてください。
少しでも幼い子どもに対する世の中の考えが変わり、お母さんたちが安心して子育てができ、それによってもっと生きやすい社会となりますことを心から願っています。
このようなおもいのもと、これからも幼く愛すべき子どもたち、お母様方、お父様方とともにこどものくにらしい歩みを続けてゆきたいと思っております。
2024年7月記
こどものくに幼稚園 園長 曽根 基